2018年11月28日水曜日

磁場の中を運動する平行平板に加わる力

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【問】
 下図のように、紙面に垂直な面の金属の平行平板があり、その両方の金属板を金属線で接続しています。そこに、紙面から紙面の手前に向く磁場(磁束密度B)を加えます。
 そして、その金属の平行平板を、平板の面の方向で磁場に垂直な方向に速度vで運動させます。
 このとき、この金属の平板は電磁場からどのような力を受けるか。
平行平板の面積はSとし、平行平板の間隔をdとする。

【解1】
 先ず、この問題を、平行平板といっしょに運動する運動座標系の観測者から観測される状況に基づいて解きます。
 その座標系で観察すると、下図のように見えます。

 磁場Hが速度Vzで運動するので、誘導電場Exが発生します。
 その誘導電場Exが加わった金属の平行平板とそれをつなぐ金属線は、どこでも電位が同じになるように電荷が移動して空間から加わった誘導電場Exを打ち消す電場を発生させます。
 それにより打ち消される金属板間の電圧は、Ex・dです。そのため、平行平板の両端には、平行平板に電圧Ex・dがあらわれるだけの電荷q=C・(Ex・d)がたまります。

 金属の平行平板には電荷qがたまりますので、その電荷qには、対向する電荷からの電場が加わります。その電場の大きさは以下のように計算できます。
 電荷qには、誘導電場Exと、対向する電荷からの電場とが加わり、その電場の合計が、以下のように、電荷qに力Fを及ぼします。
この大きさの力Fが、平行平板同士を遠ざける方向に加わります。
(解答おわり)

【解2】
 次に、この問題を、磁場と一緒に静止している座標系の観測者の視点で解きます。
(この解き方の方が普通の解き方であると思います)
 その座標系で観察すると、下図のように見えます。

 速度vで運動する金属線に、単位長さあたりに起電力Eが発生します。金属板間の距離dでは、E・dの起電力が発生します。その起電力の電圧E・dが金属板間に加わります。
(磁場中における金属板間の電圧は、観測者の運動座標系が異なれば異なります)
 平行な金属板は容量がCのコンデンサーを成すので、電圧E・dが加われば、その平行金属板に電荷q=C・(E・d)がたまります。
 そうして溜まった電荷は平行な金属板と一緒に速度vで運動しますので、磁場からローレンツ力を、平行平板同士を遠ざける方向に、受けます。

 電荷qには、ローレンツ力と、対向する金属板上の電荷の発生する電場(E/2)からの力を受けます。
 その総和の力を計算すると、以下のようになります。

この大きさの力Fが、平行平板同士を遠ざける方向に加わります。
(解答おわり)


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